僕は周りの親戚がどんどん疎遠になっていく。子供の頃にお世話になった親戚の人で、今でも変わらず接している人はいない。関係性は希薄になるばかり。だからと言ってそれを変えたとも思わないので、自分は冷たい人間なのかもしれないと思うし、ある側面ではそれが正しいのだとも思う。親戚との関係性について、僕なりの考えを記す。
先ず祖父母について。父方の祖父母の家は実家から1.5時間くらいの田舎にあった。年末年始やお盆には決まって泊まりがけで遊びに行っていて、それを毎回楽しみにしていたのを覚えている。僕の年齢が上がるに従い、部活やアルバイトで、泊まる期間は短くなっていったが、年末年始やお盆を祖父母の家で過ごすのは恒例だった。だが、数年前に祖父と父が立て続けに亡くなってからは疎遠になった。祖母には定期的に電話をかけたりもしているが、昔のように祖母の家に泊まることは無くなった。僕が就職して東京に住んでいると言うこともあり、祖母と会うのは年1回あるかどうかという感じ。更に言うと、祖母が保有する土地を巡って祖母と隣に住んでいる親戚の間でせめぎ合いがあり、その親戚にとって僕は少し微妙な立ち位置みたい。親戚が狙っている土地の通常の相続順位で僕は上位にいることが原因だと思う。そんな親戚にも言うべきことは言うようにしているので、その親戚はもう昔のようには話してくれない。その親戚たちには小さい頃からお世話になっているから、残念な気持ちもあるが、しょうがないとも思っている。
母方の祖父母には小学生になる前の幼少期にかなりお世話になった。両親が共働きだったことと、祖父母の家が自宅に近かったこともあり、記憶は断片的ながら、よく祖父母の家で預かられていたことを覚えている。でも祖母が亡くなったことから祖父とは疎遠になっていき、その後20年くらいは会ったことはなかった。その間、祖父は元気にしていたみたい。元々かなり自由な人だった。最近、母が体が弱ってきた祖父のお世話をするようになって顔を見せにいったことはあるが、それも数回という感じ。昔はスイミング教室の送り迎えをしてくれたり、山で遊んでくれたりと沢山お世話になっていたはずである。それでも懐いておらず、最近はお世話をしている母に我儘を言うので、自分勝手な人だなとすら思ってしまう。他にも母方の親戚にはお世話になっていて、祖母が亡くなって以降は、その親戚(おじちゃんとおばちゃん)によく面倒を見てもらっていたりしたが、僕が高校生の時に、そのおじちゃんが亡くなったことを境に、おばちゃんとは完全に連絡が途絶えた。昔から知っている人とこんなにも疎遠になるんだと、少しびっくりした経験である。おばちゃんが亡くなったのを知ったのは、おじちゃんが亡くなって10年くらい経った後におじちゃんのお墓参りに行った時だった。
僕のこれまでの経験で思うことは、親戚といえどもその関係性は不変的な安定したものではなく、その状況によって生み出される一時的なものであるということ。おそらく、親族の結びつきが強い家系はそんなことないのだろうが、僕の家は結びつきは弱い。僕は帰るべき実家や土地もないと思っているので、根無草で生きていけば良いと思っている。
今疎遠になっている親族ともう一度、前のように親密な関係に戻りたいとは思っていないし、恐らくそれは無理だと思う。決して嫌いになった訳ではない。沢山お世話になったし良い時間を過ごした(良い時間を過ごしたというのは、僕だけではなく、そこに関わった人もそう思ってくれているよね?)。これは僕の中での整理なのだが、例え、現在疎遠だったとしても、土地のことで揉めて気まずい雰囲気であろうとも、昔の思い出が変わる訳でない。一緒に過ごした時間は変わらないし、一緒に過ごすことを楽しみにしていた事実は変わらないのだから、それでいいのではないだろうか。そんな時間をもう一度取り戻す必要などない、昔は楽しかったが、今は状況が変わったというだけ。それぞれが自身の置かれた状況で行動しているということで良い気がする。ちなみに、父方の親戚で生じている土地問題については「金の切れ目は縁の切れ目」的な状況で大変勉強になる。
ここまで書いてきたように僕は親戚に対してドライな感情を持っているのかもしれない。それぞれがそれぞれの人生や家庭があるので、考え方や生き方が違って当然だし、そこから派生する不和はしょうがないと思っている。適切な距離感でお互いが緩く繋がっていれば良いと思う。そうは言っても昔お世話になった恩は忘れるべきではない。が、それでどうしていいのかはよくわからないし、何かをしたいと強く思っているかといえば、正直そんなことはない。薄情な人間かもしれないが、僕が逆の立場だったら、僕も小さい子を預かったり、一緒に遊んだり、奨学金の保証人になったりするだろうから、特別なことでは無い気がしてるが、この辺りはこんな考えで良いのかは自信がない。ただ一つ言えるのは、今がどうであれ昔の思い出は消えないし、今誰かに対して負の感情を持っていても、過去楽しかった思い出まで悪いものとして捉えなくても良いということ。
人生においてはいろんな人と出会うし、それを大切にすべきだが、それはその状況が作り出した偶然のようなものであったりするから、その関係性に囚われすぎるのは違うと思う。逆にその偶然のようなもので誰かと時間を共にするのであれば、その時間はその時間に集中したほうが良いと思う。過去は過去なのだから、今に集中するということ。最後の方は若干飛躍してしまった。それでは。