「うまい話」は「簡単に得をする話」である。最近、このうまい話を信じている友人と話をしていて気になったので僕なりの考えを記しておく。題名の通り「うまい話には裏がある」と思っていると言う話。でも、人間は基本的に「自分に得な話は信じたいし、自分に損な話は信じたくないし、聞きたくもない」。僕もそうだ。そんな習性を利用して、お金儲けをしようとしている人もいるから、この点については自覚していて損じゃないはず。だから会社では、大きな経営判断は個人で判断せずに、第三者的な目線で損が出る可能性も確認した上で決定を下す。当然、それでも完璧な判断なんてできないから、まあそんなもんだろう。
資産運用、いわゆる投資に関して「うまい話」は沢山ある。今回のテーマのきっかけになったのも、投資に関する話だった。端的に言うと「儲かる投資信託がある」という話。その友人によると、市場の平均リターンを上回るリターンを出せる投資商品があるのだと言う(そういう話は本当に沢山ある)。年率10%を超えるらしい。これは間違いなく「うまい話」である。
僕はこの話を信じていない。投資信託で僕らがやることはその商品を買うだけで、それ以外の労力は発生しない。労力的には銀行にお金を預けているのと対して変わらないはず。これで年率10%であればかなり「うまい話」である。
少し極端かもしれないが、自身でお金を稼ぐには大きく2つの方法があると思っている。一つは時間を売るということ。もう一つがリスクを負うということ。
①時間を売る
会社員は時間を売ってその対価を報酬として受け取っている。自営業の人も基本は同じだと思う。収入総額は(単価)×(時間)。経験があるなどして質が良く、価値ある成果を提供できる人は(単価)が高くなる。また、長時間働けば収入総額は大きくなる(はず)である。よって基本的には時間を売れば、お金を儲けることができる。
②リスクを負う
リスクとは不確実性のことを言う。よく「リスクがある」と言う場合は「危険があるので避けた方が良い」という文脈で使われるが、別に悪いことだけを指してリスクとは言わない。不確実な状態をリスクがあると言うのだから、状況が想定以上に良くなることもあり得る。そしてリスクを負うことでお金を稼ぐ場合は、儲け額が大きいのであれば、その分お金を失う可能性も大きいと考えるべきである。よって「リスクを負う」と、お金を失う可能性がある。
投資は②でお金を儲ける方法である。場合によっては①の要素も入ってくるだろうが、儲け額の総額に占める割合は②の方が断然大きいはずである。②でお金を儲ける限りこれだけは忘れないで欲しい。「儲かる分だけ、損をする可能性高い(ほとんどの場合は、儲かる確率以上に損をする可能性が高い)」
では、先ほどの年率10%の投資商品に話を戻そう。いろいろなことを沢山考えている経験ある企業が利益率10%であれば良い方である(特に日本では)。個人が投資信託を買うだけで10%の利益を出す、つまり②リスクを負うことで儲けると言うのはかなりハードルが高い。そこには損をする可能性がかなりあるはずである。実際は信託報酬等の手数料でかなりの利益が削られるのだと思う。それに場合によっては税金も取られるので、10%のリターンなど非現実的だと思う。要は「うまい話には裏がある」と言う話。
うまい話に飛びつき、そこに自身で何かの価値提供ができた上で儲かる話(つまり①+②)であれば勝率はあるかもしれないが、②だけで大きく儲かると言う話に乗ると、損をする結末となる可能性が高いことは認識しておきたい。とはいえ大逆転の話もあるのでそこが面白いところではある。僕は映画 The Big Short (マネー・ショート 華麗なる大逆転)を何故か繰り返し見てしまう。皆んなが間違っていて、少数の人の意見が真実であったという構図が好きなんだと思う。ただこの映画で起きたことは例外。とはいえこの手のイベントを人類は繰り返しているので、チャンスは伺ってみても良いかもしれないが…。
少し脱線してしまったが、「うまい話には裏がある」と言うくらいの気持ちで構えておく方が良いと思う。こんなことを主張していると、何だかつまらない人間になっているようで、正直不本意だが、これまでの経験から出している結論なので、しょうがない。これから考えは変わるかもしれないし、僕の友人が正しいことだってあり得るからlet’s seeである。それでは。